上毛かるたに「耶馬溪しのぐ吾妻峡」と詠まれている吾妻渓谷。国の名勝としては「吾妻峡(あがつまきょう)」という名称で指定されています。
「耶馬溪しのぐ吾妻峡」とうたったのは地元の人ではなく、明治から大正にかけての高名な地理学者・志賀重昂さんでした。
地元ではどちらかというと龍や天狗が住んでいる…といった、神秘的なイメージが定着していた様です。
舗装道から紹介します。「樽沢トンネル」は、JR吾妻線の旧線のトンネルで、延長わずか7.2メートルしかなく、かつては鉄道トンネルとしては日本一の短さでした。
しばらく進むと、断崖絶壁の上に出ます。ほぼ垂直で数十メートル下の吾妻川を覗きます。
真下に見えるのは「龍の剣磨岩です。丸い穴・ポットホールの事をそう呼んでいます。
この付近から上流の方を見ると、吾妻渓谷で最も幅の狭いところが見えます。幅は2m程しかなく、「鹿飛び」と云います。また、昭和8年頃の絵葉書にはこの付近のことを「龍髭磨淵」と書いてありました。
5月中旬頃は全国の渓谷と同じように、藤の花が咲き乱れます。梅雨入り前の気持ちの良いハイキングです。
少し戻って、自然歩道の方に入っていきましょう。下に降りていきます。
「鹿飛橋」を渡ります。吾妻渓谷の中で、「鹿飛」と名がついているところはここではないので、少し不思議な気がします。
鹿飛橋から下流を見た風景です。
この付近は美しい渓畔林の中を歩けます。森林浴には最適の場所です。
4月下旬~GWの頃、吾妻渓谷ではトウゴクミツバツツジがたくさん咲きます。吾妻川の水色を背にして咲くその鮮やかさから、地元では「ムラサキツツジ」と呼ばれています。
ゴールデンウイーク前は芽吹き始めたところで、いち早く渓谷に華をもたらすので、ムラサキツツジとは贔屓した呼び方のように思えます。
そして、吾妻渓谷が最もハイカーの胸を打つのは、やはり11月上旬の紅葉の頃でしょう。カエデやツツジ類が朱色に染まり、またシデ類は黄色に輝きます。まだ紅葉狩りハイキングをしたことが無いようでしたら、ぜひ、訪問してみてくださいませ。